身近な人が亡くなり、相続手続きを行う必要に迫られたとき、
①自分で行う
②専門家に頼む
このどちらかを選ぶことになります。
相続を放っておくと…
相続を放っておくと、いつか「数次相続」に発展します。
「数次相続」とは、最初に亡くなられた方の遺産分割協議をしないうちに相続人のうち1人又は数人が死亡して、次の相続が開始された状況をいいますが、相続人の人数や遺産の数量が増えることで、ただでさえ大変な遺産分割協議がさらに煩雑になります。
結局いつかはやらなければならない相続手続きですから、数次相続になるまで放っておかずに取り掛かることが大切です。
さらに令和6年4月1日からは法改正により相続登記の義務化されます。この義務を怠ると罰則(過料)を受けることになります。相続手続きを放置することにメリットはなく、デメリットが大きいといえます。
「専門家」とは
さて、前述の①・②については、手間や費用の面からどちらもメリットとデメリットがありますので、一概にどちらが良いということはできないでしょう。ご自身の状況に合わせて選択されるのが一番だと思います。
ここで、「②専門家に頼む」を検討する際に候補となるのは、弁護士、税理士、司法書士、行政書士が代表的なものといえるでしょう。
弁護士に依頼するケース
すでに相続争いが起きている、もしくは起きることが予想される場合には、弁護士に相談しましょう。相続人の間で起きたトラブルに対して代理人として対応することは弁護士のみが行うことができます。
税理士に依頼するケース
遺産の額によって相続税の申告が必要と考えられる場合(相続した財産の額が相続税の基礎控除分を超える場合)は税理士に相談しましょう。相続税の申告は税理士業務であり、他の士業では原則として行うことができません。
※相続税の基礎控除分 … 3,000万円+(600万円×法定相続人数)
司法書士に依頼するケース
遺産の中に不動産がある場合、相続登記が必要となります。登記は、弁護士および司法書士が行うことができる業務です。ただし一般的には登記については弁護士は司法書士に任せるケーが多いようです。
行政書士に依頼するケース
行政書士は権利義務に関する書類の作成を行うことができる専門家です。相続においては遺産分割協議書の作成がこれに当たります。また、遺産分割協議書作成に加えて、それに必要な相続人調査や財産調査まで一括で依頼することができます。
さらに上記のような登記や税務申告が必要なケースについても、適切な専門家を紹介することができますので、まず相談する先として、行政書士を選ぶこともできるでしょう。
誰に相談するか
前述したように、相続手続きを専門家に相談する場合は、その内容によって相談すべき先が変わってきます。
ご自身で判別することができるケースもあれば、判断に迷うケースもあると思います。では誰に相談すればいいのか…士業事務所に電話やメールするまであれこれ悩まれると思います。
まずは誰に相談すべき内容なのか、それ自体を相談すればいいのではないかと私は考えます。
例えば行政書士は、「あなたの街の法律家」「身近な相談相手」を標榜しており、そうした質問についても気軽に相談できる存在であると思います。少なくとも私は、そうした存在でありたいと思っています。
相続手続きについて迷っている方がいらっしゃるのであれば、「まずは相談してみる」ことが第一歩です。
一人でも多くの方が相続手続きの悩みから解放されるよう、専門家の一員として祈ってます。